2019A 競争法の全体像
2019-09-24
8k1-25
「もし『独禁法講義 第8版』を事前または事後に読むのだとすれば1-25頁」という意味。必須ではない。(第1回(この回)に説明する。)
この講義について
競争停止・他者排除・搾取・企業結合
競争法・反トラスト法・独禁法
競争法と条文
エンフォースメントの概要
リアクションのうち特に質問など
1455-1515
この講義について
日程
前半:白石が主に担当
後半:Vande Walleが主に担当
外国専門家担当コマ(11/12)+その前回に予習
外国専門家担当コマ(12/3)+その前回に予習
12/26
1/7
原則として白石とVande Walleがいずれも参加し、主担当者の講義を補足する。
進め方はそれぞれ
白石
Scrapbox
ITC-LMS(その日のうちのリアクション)
教室で必要なもの(白石主担当部分)
スクリーン映写するが手元にもあれば便利かも
条文は不要(後述)
参考書(白石主担当部分)
『独禁法講義 第8版』8k
定期試験
持込み可(紙媒体のみ)
出題
白石(日本語)とVande Walle(英語)がそれぞれ出題
解答
Vande Walle出題に対しては、英語で解答してもよいが、日本語で解答してもよい。
丁寧な字で書くこと。
2020サマースクールについて
1515-30
競争停止・他者排除・搾取・企業結合
競争法の目的
帰結か、機会・過程か
必ずしも条文と対応していない
競争停止
カルテル
ハードコアカルテル
例:石油カルテル事件
非ハードコアカルテル
垂直的制限(のうち他者排除の要素の薄いもの)
他者排除
取引拒絶系
略奪廉売系
例:インテル事件
搾取
セブン-イレブン事件
芸能事務所の、芸能人に対する、移籍禁止
個人情報関係
企業結合
新日本製鐵/住友金属工業
1530-50(50-55)
競争法・反トラスト法・独禁法
米国・EU・日本
この分野を指す様々な言葉
現在の国際的通称
1990年代以降
EU競争法の重要性の飛躍的増大
新興国による受容
1890年以降、この分野における世界の1強であった米国での呼称。
独禁法
1947年に制定された日本の競争法の名称「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」を略したもの。
経済法
もともとは、ドイツ語の学問分野名の日本語訳
現在の日本では、独禁法を中心とした分野を取り扱う大学の科目名であり、司法試験の科目名。
この際、覚えておくとよい言葉
米国
司法省(DOJ)の反トラスト局(Antitrust Division)
連邦取引委員会(FTC)
EU
日本
公正取引委員会(JFTC)
具体的な法律(条約)の名称は、そのうち。
(1550-55)
1555-1615
競争法と条文
日・US・EUの主要条文
カルテル周辺
(垂直的制限を含む)
US:Sherman Act §1
EU:Article 101 TFEU
日本:不当な取引制限
日本では垂直的制限は多くの場合は不公正な取引方法
単独行為
(他者排除の大部分と搾取)
US:Sherman Act §2
USでは搾取は規制しない、とされている
EU:Article 102 TFEU
日本:私的独占・不公正な取引方法
企業結合
US:クレイトン法7条
EU:EUMR(ECMR)
日本:10条、13〜17条
(USには、もっと多くの法律・条があり、複雑だが、略)
結論としては、条文はあまり見なくてもよい(少なくとも最初は)
良くも悪くも、国際的に共通の議論がかなりの程度、行われている。
そこで育まれた共通の考え方を、法域ごとに調整しながら、最後に自法域の条文に落とし込んでいる、というイメージ。
その法域に特有の条文によって議論が規定されることはあるが、さほど重要でないものが多い。
日本の司法試験界隈で「条文選択が重要」と言われるのは、たぶん別の事情。
このレジュメには8kのページを書くが、日本の条文の細かなことに端を発する議論は、全て無視してよい。
例:インテル事件は、取引拒絶系と考えればコスト割れが違反要件とならない、略奪廉売系と考えればコスト割れが違反要件となるかもしれない。
1615-1635
エンフォースメントの概要
車の両輪
違反要件とエンフォースメント
次回以後は違反要件が中心
競争当局によるnon-mergerエンフォースメント
命令
課徴金納付命令 fine, administrative fine EU、日本
命令の司法審査 judicial review
確約認定 commitment decision(US: consent decree)
日本独禁法48条の2〜48条の9
警告・注意
刑罰
実際問題としてハードコアカルテルのみ
法人と自然人従業者
US、日本
競争当局が何らかのイニシャティブをとることになっている法域が多い
USは実刑の例が多数、日本は実刑の例なし
企業結合審査手続 merger review
事前届出 → 事前審査 → クリアランスまたは禁止命令
クリアランスは、問題解消措置 remedy を条件とするものと、無条件のものとがある。
禁止命令は、日本では50年くらい例がない。
民事的エンフォースメント
損害賠償 damages recovery
US: 3倍賠償 treble damages、クラスアクション class action
EU:
差止請求 injunction
無効の主張
1635-1640
リアクション
ITC-LMSでその日のうちに
リアクションのうち特に質問など
教室が狭い
他の学生の打鍵音が気になる
マイクの音が効果的でない
Word
直接書き込みのできるワードファイルなどは上げていただけないでしょうか?
scrapboxに書いてある内容をwordにコピペした場合に段落がずれてしまいます。
サマースクール
サマースクールは申込者が多数であった場合はどのように参加者が決定されるのでしょうか。
12-17
『独禁法講義』について
英語のスピードについて
国際私法との関係
競争法の考え方は国際法上ある程度共通したものを持っているという説明に驚きました。もちろん成文法のレベルでは各国・地域で一定の差異は生じると思いますが、各国による調整・協議を待つまでもなく、一定の考えを共有している現状はなかなか珍しいのではないかと感じました。それに関連して一つ質問がございます。・・・国際私法・抵触法と競争法はどういった関係として理解すれば良いのでしょうか?国際私法の授業においても、一部カルテルやトラストに関する判例があり、シャーマン法等も何度か目にしました。私の現在の理解(および想像)の下ですと、国際的な私法関係の一分野として競争法が存在するという認識なのですが、いかがでしょうか?
3倍賠償
最後の三倍賠償のところですが、これは競争法に限らず、むしろ知財紛争で主に使用されるイメージがありました。民事的エンフォースメントの意味するところの中に、競争法紛争と知財紛争が含まれるのでしょうか?
米国と搾取規制
アメリカでもアマゾンによる販売業者への値下げの強制等といった、巨大企業による下請けの中小企業への強権的な対応が問題になっていると聞いたことがあるような気がするのですが、なぜこのような現状を前にしても、搾取がアメリカでは現在でもあまり問題視されていないのでしょうか?